東洋哲学・医学の研究から出発した創作は、脳への関心へ、そして眠りへのアブロー
チに発展していく。心地よいリフレインはしばし左脳を休めさせ、右脳をときほぐし、 全脳のバランスを整える。そして、眠りを始め体内時計を司る「松果体・メラトニン」 への音楽によるアプローチヘと至った。
左脳の酷使に耐えながらも、右脳の創造性が求められる現代社会と、宮下が目指すア
ートの方向性の一致をここにみる思いだ。実際、国民の5人に1人が睡眠障害を持つとさ れる現代に向けて、聴衆に心地よいうたた寝を提供する『耽りのコンサート』を開催 し、7年間で6万人を眠らせ話題を集める。音楽に吸い込まれるように、深いうたた寝に 誘われ、目覚めたとき味わう心身の爽快感は、不思議な実感として体験者の多くが語っ ている。
宮下は、ヒーリングミュージックの聴き方として「聴き込むな、聴き入るな、聴き流
せ」と提唱した。目覚めから耽りまで一日中、静かな音でリピートをかけて流し、より 良いヒーリングライフの生活空間を演出してほしい。
(週刊朝日 2001年5月4日号 掲載記事より)
音楽療法によって導かれるθ波
脳波は周波数の高い方から順に、脳の活動時にみられるβ波、閉眼リラックス状態で多
くみられるα波、入眠時のθ波、熟睡時のδ波と分類されています。
目を閉じて、音楽をゆったりと聴いているときには、α波が後頭部に大きく現れます。
通常は眠くなると、そのα波が消えて、θ波が現れ始めるのですが、宮下富実夫のヒー
リングミュージック静聴時にはα波が前頭部にも広がるとともに、その周波数が徐々に 遅くなり、やがてα波に混じってθ波が現れてくる傾向がみられます。
これは、禅などの瞑想時に似た現れ方です。
つまり脳は、外界からの心地よい音刺激により、ある程度覚醒状態を保ちつつも、眠り
に近い休息へと導かれたような状態ということができるでしょう。
日本医科大学
情報科学センター
河野貴美子
(http://www.biwa.co.jp) |
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