img006.jpg

長尾式新鍼法の提唱者恩師長尾正人先生(埼玉県草加市)直伝の鍼法です。

「鍼法4000年の歴史のなかで初めて登場する長尾式新鍼法は現代医学、特に解剖学・生理学にもとずいた人体の神経走行とそれを取り囲む組織特に筋肉との不健全な関係が愁訴・病気の原因である。
すなわち『凝った筋肉』が神経をしめつけることが原因である。
一言すれば『凝り万病の元』ということであり、その原因である『筋肉の凝り』の除去こそが健康な身体を回復し健全な日常生活を送る礎である。

と長尾 正人先生はいわれます。

『凝り万病の元』と 『神経障害論』・『リンパ還流障害論』が
その理論の根幹をなすものです。


まずは『神経障害論』について言及すると、神経細胞といえども生きた細胞から成りたっています。

その細胞の形状は核のある細胞体とその周りの細胞膜がちょうど樹木の枝の様にとびだしている樹状突起と1本の長く延びた軸索で成り立っている。

その軸索の周りにはその支持のためのシュワン細胞が包み込んで他の組織と直接接することがないようにしている。

そのため、電気的絶縁が保たれるため正常な神経の電気的伝達が可能となっている。

長く伸びた軸索とその周囲の絶縁のためのシュワン細胞を合わせて神経線維といいます。

神経細胞は夫々神経線維と次の樹状突起と連結してそれぞれ独自の神経組織となっている。

神経系の組織は生命維持のために非常に重要な組織であるにもかかわらず他の組織と比べてそれ自体非常に柔らかい。

その集合体である中枢の脳・脊髄は、非常に硬い組織である頭蓋骨や背骨の後部にあいたあなの連続がかたちづくるトンネル状の脊柱管と、夫々の骨群の内側の硬膜とそれに囲まれた内部に充填されたクッションとも言うべき脳脊髄液のなかに浮遊する状態で保護されている。

しかし、夫々の目的の各組織とつながるために、その保護されている頭蓋骨や脊柱管を神経鞘につつまれただけのむきだしの神経線維の形状で出なければならなくなる。

神経線維は夫々それを取り囲む筋肉の間を通って各組織と連結している。

その最終点を終板といい求心性の知覚神経の終板で夫々の組織の知覚領域の状態を感じ取って中枢である脳へと情報を送り、脳からはそれに応じた各組織の知覚領域への命令が下るのである。

しかしその神経線維がその走行上でそれを取り囲む『筋肉の凝り』によって圧迫締め付けが なされるや生きた細胞である神経線維も栄養失調を起こし正しい情報を伝達できなくなってしまう。

それが末梢から中枢への求心性の知覚神経であれば「痛み」や「痺れ」が、中枢から末梢への遠心性の運動神経であれば「運動失調」が、中枢・末梢間を遠求両方向へ伝達する自律神経であれば「各臓器・血管の失調」が、愁訴・病気として発現する。

根本的原因である神経線維の被締め付け部位では何らの愁訴が感じられずその先端の終板の知覚領域のみで感じられるのであるが、その先端部位では異常はなくまったく正常そのものである。

神経線維の被締め付け部位周辺の『筋肉 の凝り』が原因であるのにその部位のアドレスが脳にないことが原因である。

そこで愁訴・病気の原因である神経線維の走行上でもっとも締め付けられる部位の『筋肉の凝り』を除去することこそが愁訴・病気の解決になる。

それではどこが神経走行上で一番締め付けられるかといえば二足歩行する人間は就寝時以外は脊柱直側の筋肉(脊柱起立筋群)が常に姿勢維持のために緊張を強いられているにもかかわらず手・足の筋群のように大きな動きがないため循環器系の還流(筋ポンプ作用という)が期待できず疲労を起こしやすい。

すなわち『凝り』が発生しやすいのである。

したがって『脊柱起立筋群の凝り』の除去こそが愁訴・病気の解決につながる。

次に『リンパ還流障害論』について言及する。

『筋肉の凝り』により神経線維だけが締め 付けを受けるのではなくて動静脈血管もリンパ管も同様な締め付けをうけるので血行障害やリンパ還流障害も発生する。

血管が締め付けられると動脈であれば各組織への 酸素・栄養の供給が阻害され、静脈であれば発生した炭酸ガスや老廃物の滞留をまねき更なる『筋肉の凝り』が増長されることになる。

またリンパ管が締め付けられれば各血管から 浸出し外敵と戦うリンパ液も心臓への『還流が阻害』されることになる。

頚部は頭や上肢への分岐点となっているので『脳脊髄液やリンパ液の還流障害』により頭内部や上肢のむくみが発 生するためさらなる神経線維の締め付けが起こり神経系の正常な働きがより阻害されてしまう。

特 に頚部の『筋群の凝り』をとってやることにより脳内でのみ往復している視神経伝達(網膜~視床交叉~後頭葉視神経中枢)が正常におこなわれる。

視野欠損や視力の回復が見られたり、眼の奥が明るくなったり、瞼のスベリが良くなったり、目頭や目尻がすっきりしてくる現象は『脳脊髄液・リンパ液の心臓への還流』がはかられ視神経の圧迫障害がとかれたことのあらわれである。

腰部は骨盤内臓器や下肢への神経線維の分岐点となっているので『腰椎直側の筋群や腰部筋群の凝り』により腰椎から出たところやその走行上で神経線維が締め付けられるので各神経の終盤のある組織、腰臀部からふともも・足に至るまでの組織での愁訴・病気が発現するのである。

長尾式新鍼法には別に『一本鍼』があります。夫々特定の疾患に対する大変劇的な改善をみる鍼です。医道の日本社ビデオ「新鍼法の1本鍼」および月刊誌「医 道の日本」に平成10年7月より平成16年7月現在まで計23回に渡って掲載された新鍼法シリーズの内容及び長尾式新鍼法研究会での症例報告を整理して、 以下に表示します。

胃の一本鍼 胃潰瘍・十二指腸潰瘍(穿孔を除く)、胃痛、胃もたれ、慢性胃炎
大腸の一本鍼 腹痛、過敏性大腸炎、大腸潰瘍(穿孔を除く)、大腸ポリープ、大腸狭窄、下痢、下腹重、便秘
小腸の一本鍼 口渇、腹痛、へそまわりの愁訴
目の一本鍼 眼精疲労、目の奥の重さ、ドライアイ、白内障、緑内障(特に無眼圧性の),飛蚊症、中心性網膜症、逆さまつげ、眼瞼浮腫、網膜剥離、視野狭窄、硝子体萎縮、白目の充血、白内障手術後の疼痛、麦粒腫、結膜炎、眼華閃発、視力回復
顔面神経・三叉神経の一本鍼 ベル麻痺、三叉神経痛、顔のほてり・湿疹・むくみ、顔面痛、面疔
男女生殖器の一本鍼 生理痛、生理不順、子宮筋腫、精力増強
泌尿器の一本鍼 膀胱炎、前立腺肥大症(夜間頻尿・尿モレ・残尿感・小便が便器の前に立ってもなかなか出ない、出てもチョロチョロ長引く)
肩甲間部の愁訴の一本鍼 肩甲骨の内側の凝り、不快感
鼻の一本鍼 鼻炎、鼻茸、蓄膿症
口腔咽喉の一本鍼 口唇炎、歯肉炎、歯槽膿漏とそれに伴う口臭、口内炎、抜歯後の疼痛、歯肉炎(歯ぐきのはれ)、声がれ、咽喉痛、扁桃腺炎、嗄声(咽頭の使いすぎによる声がれ)
肋間神経痛の一本鍼 背部から胸部の肋間神経の走行部に沿って発現する神経痛
擬似狭心症の一本鍼 心臓が締め付けられるような愁訴が発現し入院検査しても何らの異常もみとめられない。
弾発指の一本鍼 バネ指(指が曲がったまま伸びない、指を伸ばす時ひっかかる)
膵臓の一本鍼 膵臓炎
坐骨神経痛の一 本鍼 腰部から下肢の坐骨神経の走行部に沿って発現する疼痛、痺れ
花粉症の一本鍼 アレルギー性鼻炎、眼のかゆみ・充血
気管支喘息の一本鍼 喘息(発作・予防)
乳房疾患の一本鍼 乳腺症、乳腺腫瘍
小顔になる美容の 一本鍼 顔のむくみがとれ顎がとがって見える,目がパッチリ開く
五十肩の一本鍼 急性期夜間痛、安定期の運動障害・疼痛


など恩師長尾正人先生の発見された鍼だけでなく、長尾式新鍼法研究会の方々からもフ レッシュな報告がはいってきています。

恩師長尾正人先生は次のように解説されています。

長尾式新鍼法では鍼で凝った筋肉に刺激を与えることにより、脳などの中枢からその刺激に対する修復作用の命令が出されるので、

それに伴ってその筋肉の凝りまで除去されるという、生体の自然治癒力が原動力となってそれぞれの愁訴が改善されていくのです。

したがって、従来の鍼のように『ツボ』への刺激はおこなってはならない、鍼による『ヒビキ』を発現させてはならない、なぜなら『ツボ』刺激や『ヒビキ』は神経への直接刺激となってしまうので、患者様への刺激が過多となりすぎるからです。

背部から腰部まで脊柱直側の『凝り』の発生しやすい深部の筋群に、ずらっと置鍼しても筋肉へのみの刺激のため、80歳以上の女性でもすやすやと入眠してしまえるという事実からみても、とても身体に優しいマイルドな刺激の鍼法です。

長尾式新鍼法との出会いと経過

img006.jpg
平成13年 「新鍼法の一本鍼」(ビデオ)購入
平成14年6月 日本鍼灸師会主催 第606回学術講習会「新鍼法の理論と治療編」(長尾正人講師)受講
平成14年6~10月 『新鍼法シリーズ』(医道の日本誌のバックナンバー)熟読
平成14年11月 長尾式新鍼法長尾塾へ押しかけ入門
平成14年12月 長尾式新鍼法による鍼灸院開業許可を受ける
平成15年1月 長尾式新鍼法を主体とした治療活動開始